リオのカーニバル、サンバの衣装の特徴は?
露出度の高い美女たちが繰り広げる「どんちゃん騒ぎ」のイメージが定着しているのは、ちょっと残念ですね。
中には裸同然の人もいらっしゃるようですが、コンテストに出場するために衣装にも人々の労力と、思いが込められているのです。
毎年新しいテーマを基に作られますので、衣装や装飾物も使いまわしをすることはなく1回限りのものです。
綺麗で豪華でありさえすれば良いなどというものではありません。衣装のひとつひとつも、テーマを表現するための手段です。
よって、そのテーマによって、コミカルな衣装、恐ろしげな衣装、など様々なものが出てきます。
過激なだけじゃない!衣装の意味とは?
先頭を、目のやり場に困るようなセクシーな衣装で踊る一人の女性「打楽器隊の女王(ハイーニャ・ダ・バテリア)」と呼ばれる人がいます。
チームの中で厳選された最もセクシーさ、知名度、人気のある女性が担当しています。
リオのカーニバルの象徴とも言える女性ですね。
また露出度の高い衣装を着て羽根を背負った姿の「サンバのダンサー」パシスタ。あの姿のダンサーは選ばれたほんの少人数です。
その過激な衣装にもルーツがあります。日本では「Tバック」と言われるような衣装は、もともとはブラジルの民族衣装で、「タンガ」と呼ばれていました。
アマゾン川に生息する、ナマズの一種である「カンディル」が体内に入るのを防止するもので、当時は陶器製のものが主流でした。現在では針金で、胸の輪郭を型取って作ります。
リオのカーニバルにタンガが利用されるようになったのは、先住民族の文化を取り入れるためで単に露出をしたほうが目立つという理由だけではないのです。
男性にも「タンガ」があり着用しています。
ダンサーが身に付ける羽はどんなもの?
目の覚めるような原色の羽根。
チームの顔となるダンサーが身に着ける衣装は全て、その日の為だけに職人の手によって作られます。
1本あたり4~5千円するような模様の美しいキジの羽根を数百本以上も使い、スワロフスキーを贅沢にあしらった、まるで「踊る宝石箱」のような最高級衣装です。
数百万するものもあります。
頭飾りをブラジルでは「カベッサ(頭の意味)」と言います。
風の抵抗や、多少の衝撃にも耐えられるように、針金でカチューシャのような骨組みを作ります。
触覚のような高さのある骨組みに、飾りを接着し、生地、スパンコール、ビーズなどで装飾を施し、羽根をつけていきます。
背負子もカベッサと同じように、針金でランドセルのような土台をつくり、羽根を立体的に取り付けていきます。
リオのカーニバルで使用される衣装の羽は実際の鳥(キジ)たちの羽を使用しているものが今でも多いのが現状ですが、鳥を守るため人工的な羽を使うように変化してきています。
どんなポジションがある?
ポルタ・バンデイラとメストリ・サラは(エスコーラ=チームの象徴である旗を持ち、名誉ある重要なポジション。
2人1組で、ポルタ・バンデイラが女性、メストリ・サラが男性)宮廷風の豪華な衣装を着てチームの力を誇示する意味を持ちます。
その重さたるや女性の衣装は10kgを軽く超えます。
80人以上必要とされるアーラ・ダス・バイアーナスは(貢献のあった女性ばかりで構成)スカートを大きく膨らませたドレスでバイーアの地方色を濃く出した衣装でもあります。
彼女たちは伝統的な衣装を身に着けてサンバの歴史を表しています。
これだけの思いを持って衣装を作り、コンテストに出場する人たちを思うと、治安も含め悪いイメージを持たれるような行動・行為はしてほしくないなぁと思ってしまいます。
リオのカーニバルで使われるサンバの曲は?
パレードは、毎年新しいテーマを基に作られますので、パレードのテーマ曲もそれに合わせて毎年作曲されます。
サンバのパレードには筋書きがあり、それを「Enredo(エンヘード)」といいます。
人気のあるサンバ曲は?
Tristeza(トリステーザ)
耳に残るコーラスがものすごく印象的な、ブラジルを代表する名曲で、ブラジルでも人気の高い1曲です。
1965年リオのカーニバルから多くのブラジル人を熱くしてきた曲です。
Tristezaとは『悲しみ』という意味です。
歌詞だけみると寂しい。
「悲しみよ、どこかに去ってくれ
私の魂は泣いている 私の終わりが見えているから
悲しみは私の心に住み着いてしまった
苦しみはもうたくさん!楽しかった日々に帰りたい」
でも、この曲の曲調はとても明るいものとなっています。
悲しい始まりですが、そんなことは吹き飛ばしてしまおう!というような明るく爽快な曲調になっています。
Tristezaは「Goodbye Sadness」という英語のタイトルまでついている程、世界中のいろいろな人にカバーされています。
サンバと言うよりボサノヴァのような感じの曲です。
Pilar de Hoz – Tristeza (Álbum: “Canta Brasil”)
Tombo in 7/4 (7拍子のトンボ)
タイトルだけ聞いても「?」という人が多いと思いますが、絶対に聴いたことあります!実はこの曲は世界中でカバーされています。
世界中で大ヒットした、ベリーニの『Samba de Janeiro』の原曲でサビがかなり有名。
サンバやブラジルの話題が出た時に高確率で流れますよ。
曲全体としては、構成が秀逸で美しく全体的に広がりのある曲となっています。
特にサビのボーカルが入る時がたまりません。
日本人のイメージするサンバにぴったりな、元気の出る曲です。
Airto Moreira – Tombo in 7/4
MAS QUE NADA(マシュ・ケ・ナダ)
ブラジル・ポルトガル語のスラングで、「どうしたんだい」というような意味の「MAS QUE NADA」この曲も日本のTVでよく使われていて耳にすることが多いですね。
聞いていると体が自然とリズムを取ってしまうような曲となっています。
日本では由紀さおりさんがピンク・マティーニと共にカバーしています。
MAS QUE NADA – Sergio Mendez and Brazil 66
まとめ
日本では治安の悪さや超過激な衣装だけに注目が集まっているようなイメージもありますが、先住民族の文化を取り入れるなどの歴史などを知ると、リオのカーニバルに対する現地の人たちの思いの強さを感じます。
どの国でも「お祭り」と言われるものには深い意味が込められているのですね。
そんなリオのカーニバルの盛り上がりを見たら、その迫力、熱気に心奪われてしまうでしょう。
参加する皆様がリオのカーニバルを思う存分楽しめますように!